酔った美人部下が、俺のいる温泉の男湯に間違えて入ってきてしまった
あらすじ
部下である石川杏奈と温泉街へ主張にきた秋山。夕食の際、杏奈は飲み過ぎてしまい、酔い潰れて寝てしまった。やましい気持ちが芽生えてしまうが、どうにかこらえて秋山は男湯につかる。そこに酔った杏奈が女湯と間違えて入ってくる。

 

美人部下とふたりで温泉街への出張

 風が急に冷たくなってきた。

 

 念のためコートを持ってきてよかったと思いながら、秋山真一は隣を歩く部下の石川杏奈(あんな)にチラリと視線を送った。

 彼女は細身で、夏場は冷房下でいつも震えている。冷え性で大変だと、いつか話してくれたことがあったが、今も少し震えているように見えた。

 

「よければこれ……」

 秋山はコートを差し出そうとしたところで踏みとどまった。

 24才の女性がふた回りも年上の男にコートを渡されても戸惑うばかりだろう。オヤジ臭のする衣類など誰も羽織りたくはない。下手したらパワハラかセクハラだ。

「今日はビジネスホテルじゃなくて旅館だから、温泉でゆっくり温まるといい」

 だから代わりにそう言った。

 

 雄大な山脈が目前まで迫る小さな温泉街への出張だった。

 秋山はシステムの制作を請け負う会社で働いている。

 この温泉街で若い人たちが発起し、レンタサイクルや公共交通機関をネットワークで効率よく繋げ、全てをスマホひとつで決済できるようにしよう、という試みがスタートしていた。

 そのシステム構築を託されたのが秋山の会社だった。

 

「せっかく温泉に来たんだ。ビジネスホテルの狭いベッドになんか寝てられないよな」

「はい、課長。ありがとうございます。夕食も楽しみですね。鯉のあらいが美味しいらしいですよ! あっ……」

 つい口を滑らせた、という感じで杏奈は口に手をやった。

「すみません。仕事なのに。事前に調べちゃいました」

「いや、それでいい。俺も温泉の効能を調べたりして、似たようなものだ。俺のことは気にせず、ゆっくり羽を伸ばすといいさ」

 彼女の一挙手一投足にいつも癒やされる。美人部下を持った幸運を噛みしめた。

 

 この温泉街にはそもそもビジネスホテルなんてない。

 秋山は杏奈に歩調を合わせながら、予約を取ってある小さな旅館へと向かった。

 もちろん部屋は別々だ。

 

ガードが固いOLだと思っていた

 チェックインして少しくつろいでいたら、すぐに夕食の時間になった。

 食堂におもむくと、すでに石川杏奈が座敷に座っていた。

 旅館の浴衣に着替えていたから少々戸惑った。

 胸元が少し開いていた。乳房へと繋がる鎖骨の下の白い肌が、なだらかな曲線を描き始めていた。

 

「さっそく入浴してきちゃいました」

 杏奈は、はにかみながら首をすくめた。その仕草にドギマギする。

 秋山と杏奈は仕事以外で交流を持ったことがない。だから、こういった隙のある姿を自分に見せてくれるとは思いもしなかった。

 会社の酒の席でさえ、しっかり者の彼女には油断がない。

 

「お酒弱いんです」と言いながら決して飲み過ぎることはないし、足が広がりやすい座敷に座ってもしっかり足を閉じ、おやじどものセクハラ行為をしなやかにかわす。

 

 仕事もいつもきっちりだ。

 

 以前、得意先のアポをど忘れして遅刻した時は、俺が謝る前に代わりに頭を下げてくれたことがある。すみません、アノ日で途中トイレに寄ってしまって……などと言いながら。

 

 自分にはもったいない部下だと、秋山は尊敬の念すら抱いていた。

「課長、ボーっとしてどうしたんですか? 早く座ってください。お腹ペコペコなんです」

「ああ、すまない」

 慌てて座敷に敷かれた座布団にあぐらをかくと、「さ、どうぞ」とさっそく杏奈が瓶ビールの口を向けてくる。

「仕事じゃないんだから、気をつかわなくていいんだぞ」

「堅いこと言わないでください。さ、キンキンに冷えてますから」

 

 秋山は頭を下げ、コップを差し出した。

 ビール瓶を傾ける彼女の胸元が開いた。

 思わず目を逸らしたが、お酌を返している間も内心ドキドキしていた。

「乾杯です」杏奈がグラスを掲げる。

「ああ、乾杯」秋山はそれに応える。

 

 一気にグラスを空けた杏奈は、

「ふぅ~、たまんないっす!」

 大きく息を吐いて幸せそうな表情を浮かべた。

 秋山はすぐにグラスを満たしてやる。

「風呂上がりだから回るぞ。ゆっくり飲めよ」

「大丈夫です。私、けっこう強いんで」

 

 前に弱いと言っていなかったか。

 そう思ったが口には出さなかった。

 美人で愛想がよく、気が回る杏奈はオヤジ連中から好まれるタイプだ。

 きっと社の飲み会で無理強いされることを避けるための逃げ口上なのだろう。 

 

 正直内心、心地よかった。

 社内では見せない姿を見せてくれることが。

 秋山は杏奈のグラスが空くたびに、ビールを満たし続けた。

 胸元は魅力的ではあったが、この時点でやましい気持ちなど芽生えていなかった。

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