杏奈は慌てて秋山から離れると、また足を滑らせて湯船の中に倒れてしまった。

「おい!」

 立ち上がろうともがく杏奈。その拍子に――。

 むぎゅ。

 秋山のいつの間にか膨張していた肉根が握られてしまう。

「か、課長!」

「杏奈!」

 

 ふたりして慌てまくった。

 次に足を滑らせたのは秋山だ。それを杏奈が支えようとして秋山に腕を伸ばす。

 しかし女の力だった。

 支えきれず、もつれ合うようにしてひっくり返った。

 秋山が湯船から顔を出した時には、また抱き合う格好になっていた。

 杏奈の頭は、秋山の肩に乗っかっていた。

 

「少しは、酔いは覚めたのか」激しい胸の鼓動とは裏腹に、そんな言葉が出てきた。「ロレツも随分マシになったな」

「う~ん……」

 杏奈はその体勢のまま、秋山から離れようとしなかった。

「まだダメみたいですぅ……」

 秋山は杏奈の背に手を回した。それが自然な流れのような気がした。なめらかでスベスベな肌触りだった。

 応えるように、杏奈も強く抱きついてきた。

 

「奥さんに怒られちゃう……」

「妻のことは、今はナシだ」

 ただ酔っているだけなのか。

 少しは秋山に男として好意を抱いているのか。

 それは分からないが、

「杏奈……」

 乳房を、秋山はその手に包み込んだ。

「んん……」

 

 甘い吐息が耳元でこぼれる。

「課長が名前で呼んでくれたの、初めて……」

「当たり前だろ。俺とおまえは上司と部下だ」

「もう1度、呼んで……」

「杏奈……」

「さっき転んだの、見てました? 見てましたよね?」

「かなり大胆に転んでたよな」

「やだ、そんな言い方! 課長のいじわる!」

 

 温かいお湯のせいで、すっかり弛緩しきったふくらみを揉むために秋山は力を入れた。手にフィットして、動きに合わせて形を変える。

 しかし尖端をつまむと、そこだけやけに固くなっていた。

「はっ、んんっ!」

 甘さに切なさが混じる。秋山の欲情はかり立てられるばかりだ。

 顔を上げさせ、唇を重ねた。

 まだ遠慮がちな秋山の口に、舌をねじ込んできたのは杏奈の方だった。

 

 酒臭かった。

 激しく動き回る舌に鯉の風味がほんのり残っている。生々しい。たまらない。

 秋山は乳房から、杏奈の下半身に手を移動させた。

 茂みに指先が到達する。想像していたより固い縮れ毛。かき分けると、ジャリジャリと指先にからみつく感触。

 その奥に女の赤い入口があった。トロみがお湯に溶け出していた。肉の豆に指先が触れると、

「はぁんっ!」

 杏奈の体がビクリとはじけた。

 

 秋山の指先はもっと杏奈を知りたがった。 

 人差し指と中指。

 ヒダの割れ目をこじ開け、2本合わせて這い進んでいく。

「あんっ、あっ、やっ!」

 奥へ奥へ。進むごとに杏奈は指を締めつけてくる。指の付け根まで達したところで、かきむしるように動かした。

「あっ、くっ! か、課長……! アァっ!」

 

 体を震わせながら杏奈は、肉根に手を伸ばしてきた。

 強く握られた。

 杏奈の手が上下に動く。亀頭をさすり、尿道をこする。

 しかしお湯の中だ。

「あっ、杏奈! ちょっと、キツいっ!」

 肉根は潤いを求めて悲鳴を上げた。

「ごめんなさい……」

 

 杏奈が腰を少し上げた。

 そして、秋山の肉根の尖端に自らの裂け目をあてがった。

「いい、ですか? 奥さんのモノなのに……」

「だから妻のことはナシだと、さっき言ったろう」

「いつですか? 最後に奥さんと、シたの」

「お、覚えてない。もう1年以上前だ。杏奈には、彼氏がいるんだろ?」

「いません。若い男の子に興味ないんで」

 

 言うなり、杏奈は腰を落としてきた。さっきかき回したせいで、お湯の中でも潤いは十分だ。

 あまりに柔らかい湿地帯に秋山の肉根は飲み込まれていった。

「うっ、あぁっ!」

 ひどい快感に声が出る。

 杏奈は目を閉じ、笑みを浮かべる。

「んっ、課長……エッチの時に声、出すひとなんだ……」 

「悪……かったな、くっ!」

「かわいい……」

 

 まるで秋山を子ども扱いをしながら、杏奈は秋山の上で動き始めた。

「あんっ、あっ……はぁん!」 

 艶めかしい嬌声が響く。うごめく女の溝が秋山の亀頭にからみつき、そして締め上げる。

 杏奈の動きは激しくて自由だった。動くたびにチャプチャプと湯が音を立てる。

 

「ちょ、待ってくれ、杏奈!」早くも達しそうになり、声を張った。

「んっ、まさか……もう?」杏奈は動きを止めてくれない。「絶対ダメ……です」

 それなら動きを止めてくれ! 

 そう叫びたかったが、秋山にも意地があった。ごまかした。

「違う、湯船の中じゃ動きにくいだろ。だから……体勢を、変えよう」

 杏奈は少し考え、コクリとうなずいた。

 助かった。

 主導権を握って、迫り上がってくる快感を多少でもコントロールしたかった。