教室で勢い任せのキス

 ショーツを脱がされ、彼の机の上に座らされ、脚を広げられた。そのまま永田一樹が覆い被さってきて、

「先生、好きだ。好きだ、好きだ」

 うわごとのように繰り返し、唇を重ねてきた。

 

 私はそれを受け入れる。下唇を甘噛みし、引っ張って離す。上唇に吸い付く。歯茎を舐めると彼が舌を出してきたので、そのまま吸い上げた。ジュプ、と音が漏れた。じゅる、じゅる、くちゅ。

 勢い任せのキスの後、唇が離れると、彼は首筋に舌を這わせてきた。

「はんっ……」

「ああ、やべえ。気が狂いそう」

 彼は私の声に過敏に反応する。

 舌は首筋を這うだけではなかった。

 強く吸い付いてきた。

 

 キスマークで赤くなるだろうけど別にかまわなかった。私は彼の頭を抱え、お返しに彼の首にもしるしを付けた。

「やべえ、やべえ!」

 息がどんどん荒くなる。彼の腰がもぞもぞ動いている。

 私は彼のベルトを外し、ズボンの中に手を突っ込んだ。ガチガチになったソレを握った。

 恋人とつい比べてしまう。

 固さも大きさも永田一樹の方が一回り上だった。

 若い。圧倒的に若い。

 

「欲しい……」思わず口をついた。

「先生、俺……」なのに彼の戸惑った声。

「初めて?」

「うん……」

 情けない表情と声がかわいかった。筋肉質で日焼けして、一見いかつい彼には似合わない雰囲気だった。

「心配しないで」

 彼のエラをさすりながら、ソレを私の中心に誘導した。トロトロになった裂け目の入口にあてがい、

「そのまま入ってきて」と言った。

 

 誰かに目撃されてしまうかもしれない、というリスク。彼の大きなモノに対する恐怖に似た期待。恋人への罪悪感。

 そして何より永田一樹に抱かれる悦び。

 それらがごちゃ混ぜになって、心臓があり得ないくらい跳ね回っていた。

 

教室の外は部活中

「先生! ああっ、うわぁぁ!」

 雄叫びを上げながら彼が私の中に侵入してきた。

 奥の奥までたっぷり塞がれて、息が止まる。

 声も出ない。

 視界もかすむ。

 腕から力が抜け、机からずり落ちそうなった体を、永田一樹はその屈強な肉体で抱え上げてくれた。

 俗に言う駅弁状態だ。もちろん未経験。埋まる。自重で深くまで埋まる。

 

「んっ、くぅっ……」

 初めてで、しかも駅弁なんて、ちょっと酷な気がしたけど、永田一樹は体全体を使って突き上げてくる。

 そのぎこちなくもダイナミックな動きのせいで、かえって滅茶苦茶にかき回されて、快感がつま先から頭のてっぺんまで駆け巡る。

 私は必死になって首にしがみついた。意識を保つため、彼のアゴや頬を噛んだ。

「いてっ、いてーよ先生!」

 

 それでも永田一樹は動きを止めない。どこまでも強く、深く突き上げてくる。

 そろそろヤバいな、と思っていると彼は私を抱えたまま歩き出し、窓に背中を押しつけた。

 校庭は野球部やサッカー部などで賑やかだった。

「だ……めっ……見られちゃう……」

 どうにか声をしぼり出したけど、

「先生は俺の女だ!」

 彼はかまわず動き続けた。

 

 窓ガラスがきしんだ。

 割れないか心配だった。

「先生、気持ち……いい? 俺で満足できてる?」

「んっ、そんなの……いいから……」

 

 初めてのクセに女に気を遣うなんて生意気だ。

 こっちはそれなりに経験も重ねている。 

 そう思うことが、最後の強がりだった。

 永田一樹がキスをがむしゃらに落としてきて、私は完全に溶けた。このまま彼と混ざり合って、ひとつになってしまいたかった。

「先生、くっ……俺もう、ダメだ。いい? イってもいい?」

「うっ、早く。ちょうだい……いっぱい、いっぱい……」

「先生!」

 

 永田一樹は1度腰を引いてタメを作り、力いっぱいねじ込んできた。

「あっ、んあぁぁ!」

 激しい収縮が始まり、それが頭まで突き抜けた。

「うっ、うわぁ!」

 同時に彼もイったのが分かる。激しすぎる痙攣でそれが分かる。

 流れ込んでくる圧倒的に若いしたたりを体の奥で受け止めながら、私は永田一樹を好きになったきっかけを思い出そうとした。

 

 だけど、何度も何度もトライしたのにまるで思い至らなかった。

 頭に浮かぶのはグラウンドで白球を追いかける彼の姿。

 日焼けした前腕。その逞しさ。

 ユニフォームの上からでも分かる、贅肉のないしなやかな体。

 厚い胸板。

 太い首。

 大きな背中。

 ゴツゴツと節くれ立った指。

 笑顔。くしゃっ、と笑った時に刻まれる目尻のシワ。

 すれ違った時の土埃の匂い。

 

 そんなモノが次々と浮かんでは消えた。

 きっかけなんてないのかもしれない。

 日常の彼が徐々に私の中に刻まれていった。ただ、それだけ。

 やがて気がつけば、永田一樹のことしか考えられなくなっていた。

 恋なんて接触事故だ。男女がすれ違うだけで生まれる。

 

「先生さ」

 繋がったまま、彼が耳元でささやいた。

「明後日、試合なんだ。見にきてくれよ」

 私は曖昧にうなずいた。

 だって、ダメなんだ。

 どんなに心が彼を求めても、体が彼を欲しても、私は自分の立場を捨てることはできない。結婚をする。アメリカにも行く。

 大人であることから自由になることはできない。だから、

「熱中症、気を付けなよ」

 そんなことしか言えなかった。

 

 そして窓の隙間から、また夏草の匂い。

 ごめんね。心の中でつぶやいたら、胸がきしんだ。(おわり)

 

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