
お気に入りのバンド
山口京介は池袋のライブハウスにいた。
お気に入りのバンドを応援しにきたのだ。
バンド名は『may be tomorrow』。ボーカルの『メグ』ちゃんという女の子がかわいかった。おっぱいが大きかった。
5組の対バン。『may be tomorrow』は2組目。爆音と共に彼女たちのステージは始まった。
内蔵にまで響くドラムにベースとギターが重なる。スポットライトを浴びたメグちゃんが元気にステージ上を跳ね回る。
そして、耳に絡みつくちょっとハスキーな歌声。色っぽい。
勝手に体がリズムを刻み始める。心地いい。このバンドに巡り会えてよかったと、京介は心の底から思う。
「もっと! もっときてぇー!」
メグちゃんの声にあおられ、ジャンプ。トリップ感が加速した。
間接キス
『may be tomorrow』がステージを終え、京介はビールを買いに行った。戻ってくると、京介がいた場所にメグちゃんがいた。
知人に挨拶をしているのかな、と思っていたら目が合った。勇気を出して笑顔を作ってみたら、メグちゃんは京介に向かって歩き出してきた。
緊張で思わずビールをあおった。
「私もノドかわいちゃった」
「よかったら飲む?」
少し声が上ずったが、わりと自然にそのセリフを口にすることができた。
「ありがとう」
間接キス。彼女は缶ビールを口に運び、一気に全て飲み干してしまった。
そして、
「はぁーライブ後はたまらないね」と笑って舌を出した。
その尖端付近にはピアス。彼女はチロチロ舌先を動かし、経験ある? と首をかしげた。
「経験?」
「舌ピアス、けっこういいんだよ」
意味が分からずキョトンとしていると、フェラチオ、とゆっくり口の形を作った。
「ビール全部飲んじゃったから、お詫びにシてあげようか?」
舌ピアスのとてつもない快感
トイレのその奥まで狭い通路は続いていて、行き止まりまで手を引かれてやってきた。他のバンドの曲が遠くに聞こえる。かすかな重低音が体を包む。
「舌を出して」
言われて素直に出した。緊張していたから出す時はぎこちなかった。実は京介は童貞だった。
「君はタバコ吸わないのかな? ピンクで美味しそう」
メグちゃんはいきなり京介の舌を吸った。反射的に唇を押しつけ、舌をからませた。唾液が混じり合う。ニチャ、ヌチャ。いやらしい音が漏れる。
しばらく丹念に唾液を交換した後、彼女は口を離し、京介の唇を舐め上げた。ピアスの固い感触にゾクリとした。これでアソコを舐めてもらえるのか。そう思ったら、熱い血潮が一点に集中し始めた。
ムクムクと膨れ上がったイチモツを、彼女はジーンズの上から静かにさする。
「いいね。元気」
その場にしゃがむと、彼女は京介のベルトを外し、ジッパーを下げ、ズボンとブリーフを降ろした。ぽろん、とイチモツが外気にさらされる。
カリ高だね、大きいね、と笑みを浮かべながら彼女が息を吹きかけた。舌を小刻みに動かして尿道の先をチョン、チョン、とつつく。親指の腹で裏筋をさする。
しかし、そんなふうにもてあそぶばかりで、一向にイチモツを咥えようとはしなかった。
「汁、出てきたね」
そりゃ出るよ!
京介は叫び出したい気分だった。焦らさないで欲しい。間もなくライブは終わってしまう。そしたらトイレを目がけて通路に人が押し寄せてくるだろう。舌ピアスのフェラチオは、肩透かしに終わる。
「頼む……もうたまんないよ……頼む、早く……うぅっ」
情けない声になった。
生殺しだけは勘弁してくれ!
心の中で叫んだ瞬間、ふいにイチモツが温かいものに包まれた。
くちゅ、くちゅ、じゅる。彼女の舌が、さっき褒めてくれたカリにまとわりつく。
「あっ、うわっ!」
これがフェラチオか。これが舌ピアスの感触か。
彼女の舌、唇、頬、そして京介のイチモツ。
柔らかい粘膜だらけの中にあって、ピアスの硬さが異様な存在感を放つ。カリ、サオ全体、裏筋と、舌がぬめるように移動するたびに、ピアスが唐突に一点を強く刺激する。
ビクン。そのたびに、震える。電流が走る。刺激が強すぎる。
チョン――。
「うっ、がぁ、あぁ!」
咥えたまま、彼女が激しく頭を上下させ始めた。ピアスがサオの裏側を何度も往復した。ジュルジュル、クチュ、ニチャ。ジュプ。
イチモツにまとわりついた唾液が音を立てる。それが耳にからみつく。
ピアスによって与えられた刺激は腰まで一直線にくる。快感がただの波ではなく、津波のように伝わってくる。
「やばいやばいやばい! イクっ、あぁ!」
思わず叫ぶと、
「んっ、んん~」
彼女は声にならない声を漏らしながら、イチモツを激しく吸い上げた。ジュル、ジュルルルッ!
「うあぁぁぁぁっ!」
次の瞬間、ピアスが尿道の先を強く押した。少しの痛みと、それをはるかにしのぐ快感が京介の体を一気につらぬいた。その次の瞬間、京介の放出は始まった。
「うっ、ぐぅっ!」
目が裏返るほどの気持ちよさの中、精液が彼女の口の中にもの凄い勢いで飛び散っていく。量もすごい。
快感の大きさは量と勢いに比例するらしい。間違いなく、今まで感じたどの快感よりも激しいものだった。
どくどくどく――。
しばらくして快感は頂点から、一気に下降していった。
「んっ、んぐっ」彼女がイチモツから口を離した。「んっ……」
口の中が精液でいっぱいなのだろう。彼女は言葉を発することができない。京介は降ろされたズボンのポケットからティッシュを取りだして、渡した。
「んんっ」彼女は笑みをたたえながら首を横に振った。そして、やや顔を上に向けて、ごくり。
「ご、ごめん!」
まさか飲んでくれるとは思わなかったので、京介は慌ててしまった。当然だ。童貞には、こうなった後のスマートな接し方など分からない。
「すっごい出たね。びっくりしちゃった」
「ホントごめん……」
「言ったでしょ。ビールのお礼だって。でもよかったでしょ?」
彼女は舌をペロリとだした。白濁が糸を引いた。京介をいじめ抜いたピアスがキラリと光った。ような気がした。
「またライブ来るよ、絶対」
「誤解しないでね」メグちゃんは少し不服そうに唇をとがらせた。「そういうことじゃないから。営業でしたわけじゃないから」
「あ、いや。俺こそ、そんなつもりじゃ……」
「ライブするとね、気分が高まっちゃうんだよね。すごくエッチな気分になるの。でも、誰にでもするわけじゃないからね。メンバーとだって、こんなことしないよ。誰ともヤってない」メグちゃんはそう言って、京介に腕を絡ませてきた。「ずっと君のこと、気になってたから」
「これからふたりで飲みに行く?」
「うん、いいね! 打ち上げキャンセルしなきゃ」
メグちゃんの笑顔がはじけた。満足感が胸に満ちる。まさかこんな展開が待っているなんて思いもしなかった。
彼女のおっぱいの柔らかさをしみじみ腕に感じていたら、急に喧噪が流れ込んできた。ライブが終わったらしい。人が押し寄せてくる前に、京介はどうしてもそうしたくなり、軽くキスをした。彼女は照れ臭そうに京介を見上げた。
あんな激しいことをしておいて、軽くキスしたぐらいで照れるなんて。女の子の気持ちはよく分からないな、と思いながら京介はメグちゃんの手を引いて歩き出した。(おわり)